Panasonic Melodious Library【パナソニック メロディアス ライブラリー】- TOKYO FM - 小川洋子,藤丸由華 -
今週は檀一雄さんの花筐でした。 この小説、元々は長編小説になる予定でしたが、商業的な理由で短編になったそうです。花筐が出版されたのは日中戦争の前年で、かなり古い小説ですね。
あらすじ 舞台は―架空と言っていい街―そこに建つ大学予備校。主人公の榊山は予備校の教室で鵜飼と吉良に出会います。鵜飼は屈強な肉体を持つ青年。吉良は妖怪のような見た目で現代で言うサイコパス。この3人が青春の有り余るパワーを爆発させ、破滅的とも言えるような危険な青春を描いています。特に吉良の精神の崩壊ぶりは…やがて戦争の足音が聞こえはじめ、登場人物がバタバタと絶命していくという怖い内容になっています。
この作品は人間の精神は危ういものだと暗に語っているような気もしますし、なんとなく現実でも理解に苦しむ事件が起こることが必然だと分からせてくれるようなインパクトがあります。それだけ生きていることは大変なのだと…荒波のなかに人生があるように思えてきました。
こういう小説が生まれるのも文学の凄さかもしれません。僕にとっては少し仕事とか人間関係とかのストレスが薄れたような気がします。むしろもっと自由に自分を表現できたらと思いました。