たけしさんが勧めるのは不良老人として老後を生きること。老人はちょっと煙たがれるくらいでちょうどいい。むしろ―良い葬式をあげたい―とかそういうことをするとブレてきてしまう。たけしさんは―老後があるだけマシ―と本書で語っています。
高齢者のボランティアについてや、いつまでたっても免許を返納しない高齢ドライバーなど。この本の初版は2018年12月ですが、かなり社会を的確に捉えていて驚きます。実際に高齢ドライバーの事故などが社会問題になっていますね。たけしさん自身既に車を乗らなくなって久しいそうです。
この本のメインテーマ孤独についてですが、たけしさんは高齢になると友人の死に直面することが多くて辛いと話しています。たけしさんはさくらももこさんとも親交があったらしくて、結構驚く話も出てきました。さくらさんは結婚していて息子がいるのですが、その息子はさくらさんが漫画家だということを知らないんですって。
この本はいわゆる孤独本とは一線を画していて、本の中盤になってくるとあまり寂しさについての言及がなくなって社会の風潮を斬っていくような感じになっています。歳をとったときどうしたらいいかとか、そういう言及はほぼなし。老後は、老いた自分を客観視して、できることをやるしかないというのが、僕のこの本の感想です。いまのお年寄りは老後幻想にとらわれて、逆に厳しい世界を生きているのかも。