休みの日は本屋に行くことが多いのですが、ほぼ全ての本屋で平積みされていた話題の本―天才を殺す凡人 ―かなり楽しく読めました。構成としては―小説・解説・北野さんのブログに寄せられたコメントの紹介―となっています。
最もボリュームを割いている小説パートは、渋谷のハチ公像だったしゃべる犬―ケン―が、主人公の青野トオルに―なぜ青野の勤める会社が苦境に陥っているのか―を上から目線で解説するというもの。ケンが語るのは天才・秀才・凡人の力関係と、ビジネスに潜むサイレントキラーの存在。青野は実際にそのサイレントキラーになった社員と会議で対決するのですが…
このしゃべるわんこは青野を助けようと色々助言をするのですが、時には冷たくしたり、噛みついたり、めちゃくちゃやります。このケンが著者である北野さんの化身みたいな役割で、ビジネスや社会学、アートに関することまで、かなりの情報を投下しているんですね~。
小説の後にある補足の解説で、北野さんが日本の現状などについての私見を述べています。末端の僕にはわからないことが、北野さんには見えているみたい…
この本は決して天才が偉くて秀才は稼げて凡人はそれに従う…ということを書いているわけではありません。社会の中で最も力があるのは凡人だったり、秀才は天才に対して嫉妬していたり、天才は反発を喰らいやすかったり。才能があれば良いというわけではないみたいです。そして誰にでも天才の一面がある。自分のなかの天才に向き合って、新しい答えを見つけるのもおもしろい。