この何週か重い話の本が多いですね。今回は―ある家族の会話―です。1月27日は―アウシュビッツが解放された日―ということで、それにちなんだノンフィクション作品がとりあげられました。著者のナタリーさんの家族に起きた出来事が綴られています。
イタリアのトリノに住んでいたユダヤ人家族。反ファシズム運動の渦中、家族になにが起こっていたか。何気ない日常のなかで、反ファシズム運動の活動家をかくまったり、息子たちが逮捕されたりと波乱に充ちた歴史が語られています。
ある家族の会話ということで、内容はそこまで暗いものではありません。それどころかほのぼのしています。しかし、番組のなかで小川さんも語っていましたが、結婚に至るまでの恋愛のパートがまるまる書かれていなかったのは、当時のユダヤ人たちが迫害され、生きているのに精一杯だったことの暗示なのでしょうか。
家族というのは、それだけでおもしろい。普通の家族の会話と、厳しい戦時下の生活のコントラスト。生きる意味について考えさせられる作品でした。