佐多稲子『水』 - Panasonic Melodious Library パナソニック メロディアス ライブラリー - TOKYO FM - 小川洋子,藤丸由華 -
今週は佐田稲子さんの短編小説―水―です。昭和37年の作品で講談社文芸文庫 群像短篇名作選に収録。
あらすじは上野駅のホームで女の人が泣いているというもの。本当に短い小説なのでほぼ泣いている場面と そうなった経緯で終わります。この泣いている女性は幾代という名前で旅館で働いていたのですが、母が危篤だと電報で知ります。意地悪な経営者夫婦から逃げるように駅まで走り、ホームで泣きますが、最後に水が出っぱなしの蛇口を閉めるという話。
この幾代さんの働きぶりや母への想いに胸が熱くなりますね。最後蛇口を閉めるというのは何気ない行為ですが、ここから生きる希望が見出されて行きます。深いなー。
この群像短編名作選おもしろい小説ばっかり!