Panasonic Melodious Library【パナソニック メロディアス ライブラリー】- TOKYO FM - 小川洋子,藤丸由華 -
川端康成の―山の音―は昭和29年に刊行され、いくつかの小説がまとめられています。表題の山の音は戦後すぐの鎌倉に住むある家族の話で、とんでもなくドロドロしています。
主人公は62歳の信吾ですが、中心になるのはむしろその息子の修一と、妻の菊子です。この修一がめちゃめちゃ病んでいます。戦争帰りの修一には修一の事情があるのですが、道徳を吹っ飛ばしたような行動に父信吾は激怒。家族はバラバラになるのですが、結局なにが悪くてそうなったのか分からない文学の怖さがあるな~。
村上春樹さんは―川端康成が苦手―と公言したことがあるのですが、その理由がわかった気がした今週のメロディアスライブラリーでした。ドナルド・キーンさんのように文学として川端康成を読むと、文学が間にはいってくれるのかも。